こんにちは、「課長は席を外しております」運営者の課長ちゃんです。
「実家じまい」の手順に悩んでいる方なら、
「親が亡くなってしまったけど、何から手をつければいいのか全くわからない…」
「相続とか手続きとか、期限があるみたいで焦る…」
「兄弟と揉めずに、円満に進められるだろうか…」
こんな不安で、胸がいっぱいかもしれませんね。
しかし、「実家じまい」は、単なる作業ではありません。
親の人生と家族の資産を見直す、前向きな「習慣」と捉え直すことが大切なのです。
親が元気なうちから対話を重ねて準備することで、それは後悔の残る「処分」ではなく、親子の絆を深める「思い出の整理」に変わっていくでしょう。
この記事では、実家じまいという大きな課題に直面している方に向けて、
- 後悔しないための心構えと、私の体験談
- 全体の流れがわかるタイムライン別の手順
- 親や兄弟と円満に進めるための会話術
- 誰も教えてくれない費用と節約のポイント
上記について、40代で資産形成に目覚めた私の経験を交えながら解説しています。
「実家じまい」は、手順を知るだけでなく、親と向き合う心構えで結果が大きく変わります。
ぜひこの記事を参考にして、あなたの家族にとって最善の一歩を踏み出してください。
「実家じまい」は手順の前に「心構え」で9割決まる理由

突然ですが、「実家じまい」と聞くと、どこか寂しくて、やらなければいけない面倒な作業…というイメージがありませんか。
私も最初はそうでした。
しかし、実際に経験してみてわかったのは、実家じまいは単なる作業ではなく、その「心構え」次第で、後悔にも最高の親孝行にもなり得るということです。
慌てて手順だけを追うのではなく、まずはこのプロジェクトの本質を理解することが、遠回りに見えて一番の近道になります。
なぜ慌てて進めると後悔するのか?私の体験談
結論から言うと、親が亡くなった後に慌てて実家じまいを進めると、物理的にも精神的にも、そして金銭的にも大きな負担を強いられる可能性が非常に高いからです。
私の場合、父が亡くなった後、しばらくは悲しみに暮れて何も手につきませんでした。
しかし、相続税の申告期限という現実が迫ってきて、時間がない中で遺品整理を始めたのです。
結果として、ゆっくり思い出に浸る余裕もなく、まるで引越し作業のようにモノを仕分ける毎日…。

父はこれを大切にしていたな…
なんて感傷に浸る間もなく、「これは燃えるゴミ、これは粗大ゴミ」と判断を下していくのは、正直かなり辛いものがありました。
あの時、もう少し時間と心の余裕があれば、もっと違う形で父を送り出せたかもしれない、という思いが今でも少し残っています。
「モノの処分」が「思い出の整理」に変わる瞬間
一方で、父の経験を踏まえて、母の場合は元気なうちから少しずつ一緒に片付けを始めました。
これが、驚くほどポジティブな体験になったのです。
古いアルバムを一緒に見ながら、「この時、お父さんったらね…」なんて思い出話に花が咲く。
押し入れの奥から出てきた古い着物を広げて、「これはあなたのお宮参りの時に…」と母が嬉しそうに話してくれる。
それは、単なる「モノの処分」ではありませんでした。
母の人生を一緒に振り返り、家族の歴史を再確認する、かけがえのない「思い出の整理」の時間だったのです。
この経験を通じて、実家じまいとは、親が残してくれたモノと記憶に、家族が丁寧に向き合うための大切な儀式なのだと気づかされました。
資産形成と同じ?実家じまいが親の老後を豊かにする仕組み
そして、もう一つ面白い発見がありました。
実家じまい、特に生前の整理は、私の専門である「資産形成」の考え方と非常によく似ているのです。
資産形成の第一歩は、家計を見直し、不要な支出を減らすことから始まりますよね。
実家の片付けも同じで、不要なモノを整理していくと、親の生活における「無駄」が見えてくるのです。
実際に、母は片付けを始めてから、あまり使わない健康器具や、似たような服を衝動買いすることがめっきり減りました。
モノが減ってスッキリした空間で暮らす心地よさに気づいたのかもしれません。
これはつまり、不要なモノ(無駄な支出)を見直すことで、親の生活に金銭的・精神的な余裕(資産)が生まれるということ。
結果的に、親の老後生活を豊かにする手伝いにも繋がる、非常に合理的なアプローチだと言えるでしょう。
【保存版】後悔しない実家じまいの全手順タイムライン


ここからは、あなたが途方に暮れることなく、着実に実家じまいを進めるための具体的な手順をタイムライン形式で解説していきます。
やるべきことは膨大に見えますが、時期ごとに区切って一つひとつ向き合えば、必ず乗り越えることが可能です。



何から手をつければいいの?
という不安を解消するために、まずはこの全体像をしっかりと頭に入れましょう。
まずは全体像を把握!最初の一歩となる計画づくり
実家じまいを成功させる最初のステップは、全体像を把握し、しっかりとした計画を立てることです。
これは、登山でいきなり頂上を目指すのではなく、まず地図を広げてルート全体を確認する作業に似ています。
全体像が見えれば、闇雲に進む不安がなくなり、精神的な負担も大きく軽減されるでしょう。
具体的には、以下の3つのステップで計画の土台を作っていきましょう。
誰が中心になって進めるのか、実家(不動産)を最終的にどうしたいのか(売却・賃貸・維持など)、費用は誰がどのように負担するのか。こういった基本方針を、相続人全員で話し合い、合意形成しておくことが最も重要です。ここでの記録は、後のトラブルを防ぐための大切な証拠にもなります。
相続放棄(3ヶ月以内)や相続税申告(10ヶ月以内)など、実家じまいには法的に定められた期限があります。これらの期限を絶対に逃さないよう、まずはカレンダーや手帳に大きく書き込んでください。これが、あなたの行動計画の「締め切り」になります。
この記事で紹介するタイムラインを参考に、あなた自身の家庭の状況に合わせた「やることリスト」を作成しましょう。「いつまでに」「誰が」「何をやるのか」を具体的に書き出すことで、頭の中が整理され、やるべきことが明確になります。
この最初の計画づくりこそが、後の全てのプロセスをスムーズに進めるための羅針盤となるのです。
【逝去後〜3ヶ月】最優先!期限が迫る法的手続き
親が亡くなってから最初の3ヶ月は、悲しむ間もなく、期限が迫る法的な手続きに追われる最も慌ただしい時期と言えるかもしれません。
特に重要なのは「相続」に関する初期手続きです。
ここで判断を誤ると、後で取り返しがつかないことになる可能性もあるため、慎重に進める必要があります。
この時期に必ず完了させるべき、最優先事項は以下の通りです。
- 死亡届の提出と火葬許可証の取得:
これは通常、葬儀社が代行してくれますが、死亡診断書と共に7日以内に役所に提出する必要があります。 - 遺言書の有無を確認する:
公正証書遺言以外は、家庭裁判所での「検認」という手続きが必要です。勝手に開封すると罰則の対象となる可能性もあるため、注意しましょう。遺言書があれば、その内容が相続の基本となります。 - 相続人の確定:
亡くなった親の出生から死亡までの戸籍謄本等を取り寄せ、誰が法的な相続人になるのかを確定させます。「え、そんな人がいたの?」というケースも稀にありますので、ここは専門家の力も借りつつ正確に行うことが重要です。 - 相続放棄または限定承認の検討(3ヶ月以内):
もし親に多額の借金がある場合、相続を放棄する「相続放棄」や、プラスの財産の範囲内でのみ借金を返済する「限定承認」を検討する必要があります。この手続きは、相続の開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所で行わなければなりません。これは非常に重要な期限ですので、絶対に忘れないでください。
この時期は、とにかく法的な期限を意識することが何よりも大切です。
分からないことがあれば、一人で抱え込まず、すぐに市区町村の相談窓口や司法書士などの専門家に相談しましょう。
【〜1年以内】物理的な整理と家族との調整期間
法的な初期手続きに目処がついたら、次はいよいよ物理的な整理と、家族間での具体的な調整に入っていきます。
この期間は、実家じまいの中で最も時間と労力がかかるフェーズと言っても過言ではありません。
また、相続税の申告・納付期限である10ヶ月という大きな締め切りを意識しながら進める必要があります。
主なタスクは以下の通りです。
- 遺産分割協議:
相続人全員で、誰がどの財産をどれだけ相続するのかを話し合います。ここで揉めてしまうと、後の手続きが全てストップしてしまいます。全員が納得するまで、冷静に、そして誠実に話し合うことが重要です。合意した内容は「遺産分割協議書」として書面に残しましょう。 - 遺品整理・家の片付け:
家の中にあるものを「残すもの」「売るもの」「処分するもの」「供養するもの」などに分類していきます。貴重品(預金通帳、権利書、貴金属など)の捜索も同時に行いましょう。自分たちだけで行うのが難しい場合は、遺品整理業者への依頼も検討します。 - 各種契約の解約・名義変更:
電気・ガス・水道などのライフライン、電話やインターネット、各種サービスのサブスクリプションなど、不要な契約を解約していきます。預貯金や不動産、自動車などの名義変更もこの時期に行います。 - 相続税の申告・納付(10ヶ月以内):
相続財産の総額が基礎控除額を超える場合は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に税務署へ相続税の申告と納付が必要です。税金の計算は非常に複雑なため、税理士への相談が一般的です。
この期間は、法的な手続きと物理的な作業が並行して進むため、計画性が求められます。
特に遺産分割協議と遺品整理は、家族の感情がぶつかりやすいポイントなので、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。
【1年後〜】不動産の処分と新しい始まり
全ての法的手続きと物理的な整理が完了したら、いよいよ実家じまいの最終段階、不動産の処分へと進みます。
空き家になった実家をどうするかは、家族の資産に大きく関わる重要な決断です。
この段階では、急ぐ必要はありません。
家族全員が納得できるまで、じっくりと時間をかけて検討することが大切になります。
主な選択肢は以下の3つです
選択肢 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|
売却する | まとまった現金が手に入る、管理の手間がなくなる | 思い出の場所がなくなる、売却までに時間がかかる場合がある | 相続人で公平に財産を分けたい、管理負担をなくしたい人 |
賃貸に出す | 継続的な家賃収入が得られる、資産として残せる | 空室リスク、管理の手間、リフォーム費用がかかる場合がある | 立地が良く賃貸需要が見込める、資産として持ち続けたい人 |
解体して更地にする | 管理が楽になる、土地の活用法が広がる | 高額な解体費用がかかる、固定資産税が上がる可能性がある | 建物が古く活用が難しい、土地として売りたい・活用したい人 |
どの選択肢を選ぶかは、実家の立地や状態、そして家族の価値観によって大きく変わります。
「とりあえず売ってしまおう」と焦って決めるのではなく、不動産会社などの専門家に相談し、それぞれのメリット・デメリットを十分に理解した上で、家族全員で話し合って決めることを強くおすすめします。
これが完了すれば、長く大変だった実家じまいも、ようやく一区切りです。
親が元気なうちに始める「生前整理」3つの会話術


実家じまいを後悔なく進める最大のコツは、実は「親が元気なうちに始めること」にあります。
しかし、多くの方が



何て切り出せばいいんだろう…
と悩むのではないでしょうか。
デリケートな話題だからこそ、親の気持ちを尊重しながら、上手に会話を進める技術が求められます。
ここでは、私が実際に試して効果があった3つの会話術をご紹介しましょう。
NGワードは「片付け」!まずは思い出話から始めよう
いきなり「実家を片付けようよ」と切り出すのは、実はあまり良い方法とは言えません。
親の世代にとって、モノを大切にすることは美徳であり、「片付け=自分の人生を否定された」と感じてしまう方も少なくないからです。
そこでおすすめしたいのが、「思い出話」をきっかけにするというアプローチです。
例えば、古いアルバムを一緒に見ながら、



この写真、懐かしいね。この時使ってたアレ、まだあるのかな?
といった具合に、モノと楽しい記憶を結びつけて会話を始めます。
そうすると、不思議なことに「もうこれは使わないから、誰かにもらってもらおうか」「これは処分してもいいかな」と、親の方から言い出してくれることがあるのです。
「処分」ではなく「整理」へ。
「片付け」ではなく「思い出の棚卸し」へ。
言葉の選び方ひとつで、親の心の扉の開き方は全く違ってくるものですよ。
「将来のため」を共有する!親子で学ぶお金と手続き
思い出の整理と並行して進めたいのが、お金や手続きに関する情報共有です。
これも「相続の話なんだけど…」と切り出すと、身構えられてしまうかもしれません。
ここでのポイントは、「親のため」だけでなく「私たち(子供世代)の将来のためでもある」という視点を共有することです。



お父さんやお母さんが大変な思いをしないように、そして私たちが将来困らないように、今のうちから一緒にお金のこと、勉強しておかない?
このように、子供側も当事者であるというスタンスで提案すると、親も「子供に迷惑はかけられない」と考えてくれやすくなります。
具体的には、以下のような情報を一緒に確認してみるのがおすすめです。
- エンディングノートを書いてみる:
預貯金や保険、各種契約などの情報を一覧にまとめるだけでなく、親がどんな最期を迎えたいか、延命治療を望むかといった意思を確認する大切な機会になります。 - 公的な手続きについて調べる:
将来、介護が必要になった場合に使える制度や、相続で発生する税金について、親子で一緒に調べてみましょう。「こんな制度があるんだね」「意外とお金がかかるんだな」といった共通認識が、具体的な準備へと繋がります。
お金の話はデリケートですが、将来への漠然とした不安を解消するための、とても大切なコミュニケーションなのです。
外部の専門家を味方につける方法
親子だけの話し合いでは、どうしても感情的になってしまったり、話が進まなかったりすることもあるでしょう。
そんな時は、第三者である専門家を味方につけるのが非常に有効な手段です。
身内から言われるとカチンとくることでも、専門家から客観的な事実として伝えられると、すんなり受け入れてもらえるケースは少なくありません。
例えば、以下のような専門家に相談し、親子で一緒に話を聞きに行く機会を設けてみてはいかがでしょうか。
- ファイナンシャルプランナー:
老後の資金計画や保険の見直しなど、お金のプロの視点からアドバイスをもらえます。具体的なシミュレーションを見ることで、親も現実的に将来を考えるきっかけになるでしょう。 - ケアマネージャーや地域包括支援センターの職員:
介護に関する相談のプロです。介護サービスの利用や施設入居の可能性について話を聞く中で、自然と実家の今後について考える流れを作ることができます。 - 弁護士や司法書士:
相続や遺言に関する法的な専門家です。「無料相談会があるから、念のために行ってみない?」と誘うのも良い方法です。
専門家という「外部の視点」を入れることで、話し合いが客観的かつ建設的になり、親子関係をこじらせることなく、スムーズに準備を進めることが可能になります。
実家じまいの費用はいくら?相場と節約ポイントを徹底解説


実家じまいを考える上で、多くの方が最も気になるのが「費用」の問題ではないでしょうか。
「いったい、全部でいくらかかるんだろう…」
「予想外の高額請求が来たらどうしよう…」
そんな不安を抱えるのは当然のことです。
見えないお金の問題は、精神的な負担にもなりますからね。
ここでは、実家じまいにかかる費用の全体像と、賢く節約するための具体的なポイントを、資産形成の視点も交えながら分かりやすく解説していきます。
【一覧表】これだけかかる!実家じまいの費用相場
まず結論から言うと、実家じまいの費用は**ケースバイケース**であり、一概に「いくら」とは言えません。
しかし、主な項目の相場を知っておくことで、大まかな予算を立て、業者との交渉を有利に進めることが可能になります。
以下に、主な費用の内訳と一般的な相場を一覧表にまとめました。
費用項目 | 費用の目安 | 備考 |
---|---|---|
遺品整理・残置物撤去 | 30万円~80万円 | 家の広さ、モノの量、作業人数によって変動 |
家の解体 | 100万円~300万円 | 木造の場合。構造や立地条件で大きく変動 |
不動産売却関連 | 売却価格の3% + 6万円(仲介手数料の上限) | その他、登記費用や印紙税などがかかる |
相続手続き関連 | 数万円~数十万円 | 司法書士や税理士への依頼費用。遺産総額による |
その他(仏壇処分など) | 数万円~ | 供養の方法やお布施によって変動 |
ご覧の通り、特に家の解体費用は大きな割合を占める可能性があります。
もちろん、これはあくまで一般的な目安です。
正確な金額を知るためには、複数の専門業者から必ず「相見積もり」を取ることを強くお勧めします。
遺品整理・家の解体で使える補助金と申請の注意点



こんなにかかるのか…
と少し気が重くなった方もいるかもしれません。
しかし、諦めるのはまだ早いです。
実は、自治体によっては、空き家の解体や遺品整理に**補助金(助成金)制度**を設けている場合があります。
これは、国の「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、危険な空き家を減らす目的で各自治体が実施しているものです。
補助金の有無や金額、条件は自治体によって大きく異なるため、まずは実家のある市区町村のホームページを確認するか、担当窓口に問い合わせてみましょう。
ただし、注意点が一つあります。
それは、補助金の多くは「解体前に申請が必要」だということです。



解体が終わった後に補助金の存在を知った…
なんてことにならないよう、業者に依頼する前に必ず確認する習慣をつけましょう。
少しの手間で数十万円単位の節約に繋がる可能性もある、非常に重要なポイントです。
親の資産を上手に活用!費用負担を軽くする考え方
実家じまいの費用を、すべて自分たちの貯金から賄う必要は必ずしもありません。
考え方の基本として、実家じまいにかかる費用は、親が残してくれた資産の中から支払うという視点を持つことが大切です。
具体的には、以下のような方法が考えられます。
- 親の預貯金や生命保険を活用する:
相続手続きが完了すれば、親名義の預貯金や死亡保険金を費用に充てることができます。ただし、手続きには時間がかかる場合があるため、一時的に立て替える必要があるかもしれません。 - 不用品を買い取ってもらう:
遺品整理の際に出た骨董品やブランド品、まだ使える家電などを買取業者に売却することで、処分費用を相殺できる可能性があります。遺品整理業者の中には、買取サービスを同時に行っているところもあります。 - 不動産を売却したお金を充てる:
最終的に実家を売却する予定であれば、その売却代金を費用に充てることが最も合理的です。金融機関によっては、売却が完了するまでの「つなぎ融資」のような形で資金を貸してくれる場合もあります。
大切なのは、費用負担について一人で悩まず、兄弟姉妹とオープンに話し合うことです。
親が残してくれた大切な資産を、家族みんなが納得できる形で未来に繋げていきましょう。
【家族トラブル回避】兄弟姉妹と円満に進めるための相談ルール


実家じまいという大きなプロジェクトでは、兄弟姉妹との連携が不可欠となります。
しかし、お金や思い出が絡む問題だけに、ささいな行き違いから深刻なトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。
「どうして自分だけが大変な思いを…」
「兄(弟)の言うことは、なんだか不公平な気がする…」
そんな感情が芽生えてしまうと、なかなか冷静な話し合いは難しいものです。
ここでは、無用な争いを避け、家族全員が納得して実家じまいを進めるための、大切な「相談ルール」についてお話ししたいと思います。
情報共有がカギ!全員が納得するオープンな進め方
兄弟姉妹とのトラブルを防ぐ最も重要なルールは、徹底した情報共有に尽きます。
誰か一人が情報を抱え込み、一人で物事を進めてしまうと、他の兄弟姉妹は「勝手に決められた」「何か隠しているのでは?」と不信感を抱きがちです。
たとえ良かれと思ってやったことであっても、透明性の欠如は疑念を生む元凶となるのです。
そうならないために、以下の点を意識して、オープンな進め方を心がけましょう。
- グループチャットなどを活用する:
LINEなどのツールで相続人全員が参加するグループを作り、手続きの進捗や業者とのやり取り、費用の見積もりなどをリアルタイムで共有します。「言った」「言わない」のすれ違いを防ぐ効果は絶大ですよ。 - 全ての書類のコピーを共有する:
業者から受け取った見積書や契約書、役所に提出する書類など、お金や権利に関わる書類は全て写真に撮るかコピーして全員で共有しましょう。お金に関する透明性は、信頼関係の土台となります。 - 役割分担を明確にする:
「時間がある人がやる」という曖昧な状態ではなく、「法的手続きは兄」「遺品整理の連絡係は妹」というように、役割を具体的に分担し、全員が当事者意識を持つことが大切です。
少し面倒に感じるかもしれませんが、この「情報共有」という一手間が、後々の大きなトラブルを防ぐための最も効果的なワクチンになるのです。
財産だけじゃない「感情の整理」も大切に
実家じまいで揉める原因は、お金や不動産といった目に見える「財産」だけではありません。
むしろ、目に見えない「思い出」や「感情」の整理こそが、円満な解決への鍵を握っていると私は考えています。
「この柱の傷は、子供の頃に背比べした跡だな…」
「母が大切にしていたこの茶碗、私がもらってもいいかな…」
そういった一つひとつの品に宿る思い出は、お金には代えがたい価値を持つものです。
財産分与の話をする前に、まずはこの「感情の整理」を丁寧に行う時間を作りましょう。
具体的には、遺品整理の際に、相続人全員で実家に集まる日を設けることをおすすめします。
そこで、一つひとつの品を手に取りながら、
「これは誰が欲しい?」
「これはどうしようか?」
と話し合うのです。
形見分けは、単なるモノの分配ではありません。
それは、親との思い出を分かち合い、それぞれの記憶を尊重し合うための大切なコミュニケーションの場となります。
高価な壺よりも、色褪せた一枚の写真の方が価値がある、なんてことも十分にあり得ます。
お金の話ももちろん重要ですが、その前にまず、家族としての感情的な繋がりを再確認すること。
これが、誰もが納得できる実家じまいを実現するための、心と思いやりのルールなのです。
【FAQ】実家じまいに関するよくある疑問・不安に答えます


ここまで実家じまいの手順や心構えについてお話ししてきましたが、それでも個別の疑問や不安は尽きないものだと思います。
「業者選びって、結局どうすればいいの?」
「仏壇とか、特別なものの処分はどうしよう…」
そんな具体的なお悩みも多いのではないでしょうか。
ここでは、多くの方が抱えるであろう、よくある質問とその答えをQ&A形式でまとめました。
ぜひ、あなたの状況と照らし合わせながら参考にしてみてくださいね。
Q. 業者選びで失敗しないポイントは?
A. 遺品整理や家の解体を依頼する業者選びは、実家じまいの成否を分ける重要なポイントです。
悪質な業者に高額な費用を請求されたり、不法投棄されたりするトラブルも残念ながら存在します。
失敗しないためには、必ず複数の業者から相見積もりを取ることが基本中の基本となります。
その上で、以下のポイントをチェックしましょう。
- 許認可の有無を確認する:
家庭の廃棄物を収集運搬するには「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要です。また、買取を行う場合は「古物商許可」が求められます。これらの許認可をきちんと取得しているか、ホームページなどで必ず確認してください。 - 見積書の内訳が明確か:
「作業一式」といった大雑把な見積もりではなく、「作業人数」「作業時間」「車両費」「処分費」など、内訳が細かく記載されている業者を選びましょう。追加料金が発生するケースについても、事前に確認しておくことが大切です。 - 損害賠償保険に加入しているか:
作業中に家財や建物を破損してしまった場合に備え、損害賠償保険に加入している業者だと安心できます。
焦って一社に決めてしまうのではなく、複数の業者と実際に話し、対応の丁寧さや誠実さを見極めることが、後悔しない業者選びに繋がります。
Q. 仏壇や神棚はどう処分すればいい?
A. 仏壇や神棚は、ご先祖様や神様への感謝の気持ちが込められた大切なものですから、粗大ゴミとして処分することに抵抗があるのは当然です。
一般的には、お寺や神社に依頼して「魂抜き(閉眼供養)」や「お焚き上げ」をしてもらうという方法が取られます。
まずは、菩提寺(先祖代々のお墓があるお寺)や地域の神社に相談してみるのが良いでしょう。
費用はお布施や玉串料として数万円程度が目安とされていますが、お寺や神社によって異なりますので、事前に確認することをおすすめします。
また、最近では仏壇・仏具店や遺品整理業者の中にも、供養から処分までを一括で引き受けてくれるサービスを提供しているところがあります。
菩提寺が遠方にある場合などは、そうしたサービスの利用も検討してみると良いかもしれません。
大切なのは、家族が納得できる形で、感謝の気持ちを込めてお見送りすることだと思います。
Q. 遠方に住んでいて、なかなか実家に行けない場合は?
A. これは、多くの方が抱える非常に切実な問題ですよね。
仕事や家庭があると、遠方の実家に何度も通うのは現実的に難しいものです。
結論としては、信頼できる専門業者に任せられる部分は積極的に任せるという割り切りが重要になります。
全ての作業を自分で行おうとすると、交通費や宿泊費がかさむだけでなく、心身ともに疲弊してしまいかねません。
特に、時間と労力がかかる遺品整理や家の片付けは、専門の遺品整理業者に依頼することを検討してみてください。
最近の業者は、作業の様子を写真や動画で報告してくれたり、オンラインで立ち会えたりと、遠方に住む依頼主への配慮が行き届いていることが多いです。
もちろん、貴重品の捜索や、どの品を残すかといった重要な判断は、一度は現地に赴いて自分で行う必要があります。
しかし、それ以外の仕分けや搬出、清掃といった作業は、プロの力を借りることで、時間的・精神的な負担を大幅に軽減できるでしょう。
限られた時間の中で効率的に進めるためにも、任せられる部分は専門家に頼るという「賢い選択」も、実家じまいを成功させるための大切な習慣の一つと言えるのです。
まとめ:「実家じまい」は最高の親孝行になる


今回は、実家じまいの手順について悩んでいる方に向けて、
- 後悔しないための心構えと私の体験談
- 全体の流れがわかるタイムライン別の手順
- 親や兄弟と円満に進めるための会話術
- 誰も教えてくれない費用と節約のポイント
上記について、40代で資産形成に目覚めた私の経験を交えながらお話してきました。
実家じまいとは、単なる物理的な作業ではありません。
それは、親の人生と家族の歴史に向き合い、未来へと繋げていくための大切なプロジェクトなのです。
この機会を前向きに捉え、親子で対話を重ねることで、きっと家族の絆はより一層深まることでしょう。
「実家じまい」は大変なことも多いですが、手順と心構えさえ間違えなければ、最高の親孝行にもなり得ます。
まずはこの記事を参考に、「アルバムを一緒に見る」ことから始めてみませんか。