医療費控除のやり方を解説!サラリーマンこそ知って得する節約術

パソコンに向き合う女性のアイキャッチ画像

医療費控除のやり方がわからずお困りのサラリーマンの方なら、

「確定申告って、そもそも何から始めればいいの?」

「面倒な手続きをして、本当に元が取れるのかな…」

「もし間違えたらどうしよう」

このような不安を抱えているかもしれませんね。

ですが、安心してください。

医療費控除は、あなたが思っているよりもずっと簡単で、実はスマホひとつで完結させることも可能なんです。

このひと手間をかける習慣が、将来の資産形成の確かな一歩に変わっていくでしょう。

この記事では、確定申告が初めてのサラリーマンの方に向けて、

  • 自分は医療費控除の対象になるかのチェック方法
  • スマホで完結する具体的な申請5ステップ
  • 対象になる費用・ならない費用の具体例
  • ふるさと納税との併用など、よくある疑問の解消法

上記について、私自身の節約・投資経験を交えながら解説しています。

面倒だからと諦めてしまうのは、本当にもったいないですよ。

ぜひこの記事を参考にして、賢く節税する第一歩を踏み出してください。

目次

サラリーマンの医療費控除、面倒くさがって損してませんか?

請求書の山をみる男性の画像

「医療費控除」と聞くと、なんだか専門用語が多くて難しそう。

「確定申告なんて、自営業の人がやるものでしょ?」なんて、僕も昔は思っていました。

会社員は年末調整で全部お任せだから、自分には関係ないと考えていたんです。

でも、この「ひと手間」をかけるだけで、ランチ数回分どころか、時には家族でちょっとした旅行に行けるくらいのお金が戻ってくる可能性があるとしたら、どうでしょう。

実は、普段は確定申告に無縁なサラリーマンのあなたでも、今やスマホ一つで手続きができてしまう時代なんです。

年末調整では決してカバーされないこの制度、知らないままでは、本来受け取れるはずだったお金を、毎年みすみす手放しているのと同じかもしれません。

この記事では、そんな「もったいない」をなくすために、医療費控除のやり方をゼロから分かりやすく、そして具体的に解説していきますよ。

医療費控除とは?年末調整との違いをサクッと解説

まず、医療費控除とは何か、その本質から理解しておきましょう。

これは、1年間に支払った医療費が家計に重くのしかかった場合に、その負担を少しでも軽くするために国が設けている税金の優遇制度です。

中堅くん

それなら会社が年末調整でやってくれればいいのに

と思いますよね。

ここが一番大切なポイントなのですが、年末調整は、あくまで会社が支払った給料や、生命保険料・地震保険料といった会社が把握できる情報に基づいて税金を計算する手続きです。

社員一人ひとりが、どの病院でいくら医療費を払ったか、といったプライベートな情報まで会社は把握できません。

だからこそ、医療費控除は「自分で申告した人だけが受けられる権利」となっているのです。

義務ではないですが、この権利を使わない手はありません。

年末調整と確定申告は、全く別の手続きだと覚えておきましょう。

「自分は対象?」3つのチェックポイントで簡単診断

では、あなたが医療費控除の対象になるのか、もう少し詳しくチェックしてみましょう。

次の3つのポイントを、ご自身の状況に当てはめてみてください。

  • 1年間の医療費が10万円を超えているか?
    これが基本的な目安です。ただし、所得が低い場合は10万円以下でも対象になることがあります。具体的には、その年の総所得金額等が200万円未満の方は、医療費が「総所得金額等の5%」を超えれば申告可能です。
  • 自分や、「生計を一つにする」家族の医療費か?
    ご自身の分だけでなく、配偶者やお子さん、さらには離れて暮らす親に仕送りをしている場合、その親の医療費も合算できます。共働きのご家庭なら、一般的に所得税率が高い(=年収が高い)方がまとめて申告すると、還付される金額が大きくなるのでおトクですよ。
  • 確定申告をする本人が税金を納めているか?
    医療費控除は、あなたが「納めた税金の一部を取り戻す」制度です。そのため、所得税や住民税を納めていることが大前提となります。ほとんどのサラリーマンの方は当てはまりますが、例えば産休・育休中でその年の所得がゼロだった場合などは対象外となる点に注意が必要です。

この3つのポイントをクリアしているなら、あなたも医療費控除を受けられる可能性が非常に高いと言えます。

【体験談】この「ひと手間」で数万円の節約につながることも

新人さま

で、結局いくら戻ってくるの?

という声が聞こえてきそうですね。

還付額は、簡単な式で目安を知ることができます。

(1年間に支払った医療費の合計額 - 10万円) × あなたの所得税率 = 所得税の還付金額

これに加えて、住民税も(支払った医療費の合計額 - 10万円)× 10%(住民税率)の金額が、翌年の請求額から安くなるんです。

例えば、年収ごとのおおよその還付額を見てみましょう。

課税所得金額(年収の目安)所得税率医療費30万円の場合の還付額(所得税+住民税)
195万円以下(~約330万円) 5%約30,000円
195万~330万円(~約480万円)10% 約40,000円
330万~695万円(~約850万円)20%約60,000円

※上記はあくまで目安です。各種控除によって実際の金額は変動します。

どうでしょう。

年収500万円の方なら、所得税と住民税を合わせると4万円以上も手元に戻る可能性があるんです。

僕自身、40代になってから節約や投資の大切さを実感していますが、この医療費控除も立派な「資産防衛術」の一つ。

面倒な気持ちを乗り越えて行動した結果、浮いたお金で家族と美味しいものを食べたり、積立投資の額を増やしたりできる。

その喜びを一度味わうと、翌年からは「やらなきゃ損」という気持ちに変わっていきますよ。

【令和7年分】医療費控除のやり方を5ステップで完全ガイド

5ステップの画像

お待たせしました。

ここからは、サラリーマンが医療費控除を受けるための具体的なやり方を、5つのステップに分けて徹底解説していきます。

中堅くん

やっぱり難しそう…

なんて心配はご無用ですよ。

僕も最初はそう思っていましたが、一度やってみれば「なんだ、こんなものか」と感じるはず。

特に今はスマホ申告が主流になり、画面の指示に従って進めるだけで、誰でも完了できるようになっています。

この5つのステップを一つずつクリアしていけば、あなたも確実にゴールにたどり着けますから、安心してついてきてくださいね。

ステップ1:まずはコレ!申告に必要な4つのものを準備しよう

何事も準備が大切。

いきなり申告作業を始める前に、まずは必要なものを手元に揃えておきましょう。

これらが揃っているだけで、後の作業が驚くほどスムーズに進みます。

さあ、宝探しゲームの感覚で、以下の4つのアイテムを集めてみてください。

  • 源泉徴収票(原本)
    毎年12月か1月に、会社から給与明細と一緒にもらうあの書類です。申告書には、この書類に書かれている「支払金額」や「源泉徴収税額」といった情報を転記する必要があります。もし紛失してしまった場合は、会社の経理や総務担当の方にお願いすれば再発行してもらえますよ。
  • マイナンバーカード
    スマホでe-Tax(電子申告)をするなら、これは必須アイテム。本人確認(電子署名)に利用します。もしカードを持っていない場合は、税務署でIDとパスワードを発行してもらう方法もありますが、今後のためにもカードを作っておくのが断然おすすめです。
  • 医療費の領収書、または医療費通知
    1年分の医療費の証拠となる書類です。最近は、健康保険組合から送られてくる「医療費通知(医療費のお知らせ)」がとても便利。これを使えば、面倒な領収書の集計作業を大幅にショートカットできます。
  • 還付金を受け取る本人の預金口座情報
    無事に手続きが終わった後、還付金が振り込まれる口座です。銀行名、支店名、口座番号がわかるキャッシュカードや通帳を用意しておきましょう。

これらが揃えば、下準備は万端です。

いよいよ本格的な作業に入っていきましょう。

ステップ2:1年間の医療費を合計!「医療費控除の明細書」を作成

次に、1年間で支払った医療費の合計額を計算し、「医療費控除の明細書」という書類を作成します。

と、ここが一番の山場に感じるかもしれませんね。

新人さま

うわ、領収書の山を全部計算するのか…

でも大丈夫、今は便利な方法があります。

一番簡単なのは、健康保険組合から届く「医療費通知」を活用する方法です。

この通知に記載されている医療費の合計額を使えば、それだけで集計が完了します。

領収書一枚一枚の金額を足していく必要はありません。

もし医療費通知が手元にない場合や、通知に記載されていない医療費(薬局で買った市販薬など)がある場合は、国税庁のウェブサイトから「医療費控除の明細書」のExcelフォーマットをダウンロードして入力するのがおすすめです。

人ごと、病院・薬局ごとにまとめて入力していけば、自動で合計額を計算してくれます。

ちなみに、以前は領収書の提出が必要でしたが、今は提出不要です。

ただし、税務署から問い合わせがあった場合に備え、領収書は5年間、自宅で保管しておく義務があるので、申告が終わっても捨てずに保管しておきましょう。

ステップ3:スマホで簡単!確定申告書を作成する

いよいよ申告書の作成です。

ここは国税庁の「確定申告書等作成コーナー」というサイトを利用します。

スマホやパソコンからアクセスすれば、まるでチャットで質問に答えていくような感覚で、あっという間に申告書が完成しますよ。

難しい税金の計算は、すべてシステムが自動でやってくれるので安心してください。

大まかな流れは以下の通りです。

STEP
「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、「作成開始」をタップします。
STEP
e-Taxでの提出を選ぶと、マイナンバーカードの読み取りを求められます。スマホにカードをかざしてログインしましょう。
STEP
次に、源泉徴収票の内容を入力します。スマホのカメラで源泉徴収票を撮影すれば、数字を自動で読み取ってくれる機能があり、これが本当に便利です。
STEP
所得控除の入力画面で「医療費控除」を選択します。
STEP
ここで、ステップ2で作成した「医療費控除の明細書」の合計金額などを入力します。医療費通知を利用した場合は、その合計額を入力するだけでOKです。
STEP
最後に、あなたの住所や氏名、還付金を受け取る口座情報を入力すれば、申告書の作成は完了となります。
新人さま

本当にこれだけでいいの?

と拍子抜けするかもしれませんが、本当にこれだけなんです。

画面の案内に従って入力するだけで、複雑な確定申告書が魔法のように出来上がります。

ステップ4:作成した申告データをe-Taxで送信

申告書が完成したら、最後の仕上げ、提出です。

e-Taxを使えば、税務署の窓口に並んだり、郵便局に行ったりする必要は一切ありません。

深夜でも早朝でも、あなたの好きなタイミングで提出できます。

提出手順も非常にシンプル。

  • 作成した申告書の最終確認画面が表示されるので、内容に間違いがないかチェックします。
  • 「送信」ボタンを押すと、再度マイナンバーカードでの本人確認(電子署名)を求められます。
  • スマホでカードを読み取れば、あなたの申告データが税務署へ送信されます。
  • 送信が終わると「受付完了」のメッセージが表示されるはずです。

この送信ボタンを押す瞬間は、なんとも言えない達成感がありますよ。

中堅くん

自分の力で、ちゃんと税金の手続きができた

という自信にもつながるはずです。

念のため、送信完了画面や、後で確認できる受信通知はスクリーンショットなどで保存しておくことをおすすめします。

ステップ5:還付金はいつ?どこに振り込まれる?

本当にお疲れ様でした。

これで、あなたがやるべき手続きはすべて完了です。

あとは、頑張ったご褒美である還付金が振り込まれるのを待つだけ。

気になる振込時期ですが、e-Taxで申告した場合、手続きがスピーディーに進むため、申告からおよそ2~3週間で指定した口座に振り込まれることが多いです。

書面で提出した場合は1ヶ月から1ヶ月半ほどかかることもあるので、やはりe-Taxは便利ですね。

また、所得税の還付とは別に、もう一つうれしい効果があります。

それは、翌年6月以降に支払う住民税が、今回の申告内容を元に自動的に安くなること。

これは改めて手続きする必要はなく、忘れた頃にやってくるボーナスのようなものです。

この「ひと手間」をかける習慣が、あなたの家計を少しずつ、しかし着実に豊かにしてくれるはず。

この経験は、来年以降のあなたの資産形成にもきっと役立ちますよ。

これって対象?医療費控除になる費用・ならない費用

天秤の画像

医療費控除の準備をはじめると、誰もが一度は「この支払いって、対象になるんだっけ?」という疑問の壁にぶつかります。

僕も最初はそうでした。

レシートの束を前に

課長ちゃん

どこまで含めていいんだろう…

と、一つひとつネットで検索しては一喜一憂したものです。

でも、ここを正しく理解しているかどうかで、戻ってくる金額が数千円、いや数万円単位で変わってくることもあるんです。

せっかく申告するなら、認められる費用は漏れなく計上して、節税効果を最大限に引き出したいですよね。

基本的な考え方は、とてもシンプル。

その支払いが「治療目的」だったかどうか、です。

この視点をコンパスにして、具体的な例を見ていきましょう。

対象になる費用の具体例(治療費・薬代・交通費など)

まずは、医療費控除の対象として認められる費用の代表例です。

中堅くん

えっ、こんなものまで対象になるの?

と意外に思うものもあるかもしれませんよ。

ご自身の1年を振り返りながら、当てはまるものがないかチェックしてみてください。

  • 医師・歯科医師による診療費・治療費
    これは基本中の基本ですね。病院での診察代や治療費はもちろんのこと、インプラントやセラミックの被せ物といった、保険適用外の高額な歯科治療も対象になります。お子さんの歯列矯正も、噛み合わせの改善など「治療」が目的であれば対象となる可能性が高いですよ。
  • 治療のための医薬品代
    病院で処方された薬はもちろん、ドラッグストアで購入した風邪薬や胃薬、痛み止めの湿布なども、治療目的であれば対象です。日頃からレシートを専用の封筒に入れておく、といった小さな習慣が、この時に本当に役立ちます。
  • 通院のための交通費
    電車やバスなど、公共交通機関を利用した際の交通費も、実は立派な医療費です。お子さんの通院に付き添った、親御さんの交通費も合算してOK。交通系ICカードの利用履歴を印刷したり、アプリで確認したりすると集計が楽になります。
    ※タクシー代は、急な陣痛など緊急性が高い場合を除き、原則として対象外なのでご注意くださいね。
  • 出産に関連する費用
    妊娠がわかってからの定期健診や検査の費用、通院費用、そして分娩・入院費用。これらは大きな金額になることが多いので、絶対に忘れてはいけない項目です。
  • その他の費用
    あん摩マッサージ指圧師や柔道整復師(接骨院など)による、治療目的の施術費も対象です。ただし「疲れを癒すため」といったリラクゼーション目的のものは対象外となります。

これらの費用を漏れなく集計することが、賢い節税への確かな一歩となります。

対象にならない費用の具体例(予防接種・健康診断など)

一方で、医療費という名前がついていても、残念ながら対象にはならないものもあります。

先ほどの「治療目的」というコンパスに照らして、「予防」や「美容」が目的の費用は対象外、と覚えておくと判断しやすいでしょう。

うっかり含めてしまわないように、間違えやすい例をしっかり確認しておきましょう。

  • 健康診断・人間ドックの費用
    これは病気の「予防」や早期発見が目的のため、基本的には対象外です。ただし、もし健康診断の結果、重大な病気が見つかり、そのまま治療に入った場合は、その診断費用も控除の対象に含めることができます。
  • 予防接種の費用
    インフルエンザのワクチンなど、病気を未然に防ぐための予防接種は「予防」にあたるため、対象にはなりません。
  • 美容目的の費用
    シミ取りのレーザー治療や、歯のホワイトニングなど、容姿を美しく見せることが目的の費用は対象外です。同じ歯列矯正でも、大人が「見た目を良くしたい」という純粋な美容目的で行う場合は、対象と認められないことがありますので注意が必要です。
  • 自家用車での通院費用
    通院のために自家用車を使った場合のガソリン代や駐車場代は、残念ながら対象には含まれません。公共交通機関の利用が原則です。
  • 健康増進のための費用
    健康維持のために飲んでいるビタミン剤やサプリメント、栄養ドリンクなどの購入費用も対象外となります。

この線引きをしっかり理解し、自信を持って正しい申告をすることが大切ですね。

家族の分も合算OK!一番おトクな申告の仕方

さて、ここからが節税の腕の見せ所であり、医療費控除の最も強力なメリットの一つです。

それは、ご自身の分だけでなく、「生計を一つにする」家族の医療費もすべて合算して申告できるというルール。

そして、一番おトクになる申告の仕方の結論は、家族の中で一番所得の多い人(=所得税率が高い人)がまとめて申告することです。

なぜなら、医療費控除は所得から費用を差し引く仕組みなので、もともとの税率が高い人ほど、税金の計算上有利になり、戻ってくる金額(還付額)が大きくなるからなんです。

例えば、所得税率が20%のご主人と、5%の奥様がいるとします。

控除の対象となる医療費が20万円だった場合、控除額は10万円。

ご主人が申告すれば、所得税だけで10万円×20%=2万円が還付されます。

一方、奥様が申告すると10万円×5%=5千円の還付となり、その差は歴然ですよね。

ちなみに「生計を一つにする」とは、必ずしも同居している必要はありません。

例えば、離れて暮らすご両親に、あなたが生活費の仕送りをしている場合、そのご両親が支払った医療費も、あなたの医療費として合算できるんです。

これは意外と知られていない、でも非常に重要なポイントかもしれません。

共働きのご夫婦、お子さん、そしてご両親の分まで。

家族というチームで支払った医療費を集計し、一番効果的な形で申告する。

これぞ、家族の資産を守る、賢い大人の家計術と言えるのではないでしょうか。

サラリーマンが抱える医療費控除の3つの疑問を解消します

チェックマークとクエスチョンマークの画像

ここまで読み進めて、「よし、やってみよう!」という気持ちになってきた方も多いのではないでしょうか。

でも、その一方で、特にサラリーマンの方ならではの、ちょっとデリケートな疑問が頭をよぎるかもしれませんね。

「会社に何か言われないだろうか…」

「他の制度との兼ね合いはどうなるんだろう…」

といった不安。

僕も最初は同じでした。

ここでは、そんな皆さんが安心して第一歩を踏み出せるように、特によくある3つの疑問について、ハッキリとお答えしていきます。

 疑問1:確定申告したら会社にバレる?副業を疑われない?

これは、本当に多くの方が心配される点です。

結論から言うと、医療費控除のために確定申告をしても、そのことが会社に知られることは、まずありません。

なぜなら、確定申告はあなたと税務署との間の手続きであり、その内容が会社に通知されることはないからです。

中堅くん

でも、住民税の金額が変わって、経理担当者に気づかれるんじゃ…

という心配もあるかもしれません。

確かに、副業などで所得が増えると住民税も増えるため、それがきっかけで会社に知られるケースはあります。

しかし、医療費控除は所得を「減らす」申告です。

これにより住民税は「安く」なりますが、給料以外の収入を疑われる筋合いのものではありません。

むしろ、住民税が安くなるのはあなたにとってメリットでしかないので、何も心配する必要はないのです。

堂々と、ご自身の権利として申告して大丈夫ですよ。

疑問2:ふるさと納税(ワンストップ特例)と併用できる?

ふるさと納税をされている方にとって、これは非常に重要なポイントですね。

結論、医療費控除とふるさと納税は併用できます。ただし、注意点が一つだけあります。

普段、ふるさと納税で「ワンストップ特例制度」を利用している方も、医療費控除のために確定申告をする場合は、そのワンストップ特例が無効になってしまうのです。

中堅くん

え、じゃあ、ふるさと納税が無駄になるの?

と焦る必要はありません。

やるべきことは、確定申告の際に、医療費控除と一緒に「ふるさと納税の寄付金控除」も申告すること。

これを忘れてしまうと、ふるさと納税の節税メリットが受けられなくなってしまうので、本当に注意が必要です。

確定申告書作成コーナーでは、医療費控除の入力が終わった後に、寄付金控除(ふるさと納税)を入力する画面が出てきます。

「自分はワンストップ特例を申請済みだから…」

とスルーせず、必ずふるさと納税の金額も入力するようにしましょう。

ひと手間増えますが、両方のメリットをしっかり受け取るために、忘れないでくださいね。

疑問3:住宅ローン控除と併用は可能?

住宅ローンを組んでいる方にとっては、これも大きな関心事でしょう。

答えは、もちろん併用可能です。全く問題ありません。

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)と医療費控除は、税金の計算上、まったく別のカテゴリーの控除です。

お互いに干渉することはありませんので、両方の恩恵をしっかり受けることができます。

会社員の場合、住宅ローン控除は1年目こそ確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で手続きが完了しますよね。

そのため、医療費控除のために確定申告をする際は、年末調整済みの源泉徴収票に記載されている「住宅借入金等特別控除の額」を、申告書にそのまま転記するだけでOKです。

難しい計算は不要。

「住宅ローン控除を受けているから、医療費控除はできないかも…」

なんて心配は一切無用です。

利用できる制度はすべて活用して、賢く家計を守っていきましょう。

【FAQ】医療費控除に関するよくある質問

FAQの画像

最後に、これまでの説明で触れられなかった細かいけれど重要な疑問点について、Q&A形式でお答えしていきます。

「そういえば、これってどうなんだろう?」

と思っていた、あなたの最後のモヤモヤも、ここでスッキリ解消できるかもしれません。

知っておくとさらに得する、あるいは損を防げる知識ばかりですので、ぜひ最後まで目を通してみてくださいね。

過去5年分までさかのぼって申請できるって本当?

はい、本当です。

これは「還付申告」と呼ばれる手続きで、申告し忘れていた医療費控除は、過去5年分までさかのぼって申請することが可能です。

例えば、

「3年前に子供が生まれて医療費がたくさんかかったのに、申告し忘れていた…」

なんて場合でも、まだ間に合います。

諦めるのは早いですよ。

ただし、さかのぼって申告する場合は、その年ごとの源泉徴収票や医療費の明細が必要になります。

「もしかして、自分も対象かも?」

と思った方は、過去の書類が残っていないか、一度探してみてはいかがでしょうか。

タンスの奥に、思わぬ臨時収入が眠っているかもしれません。

 医療費が10万円以下でも対象になるケースとは?

多くの方が「医療費控除は10万円から」と記憶していますが、実はそうでないケースもあります。

それは、その年の「総所得金額等」が200万円未満の方です。

この場合、年間の医療費が「総所得金額等の5%」を超えていれば、医療費控除の対象となります。

例えば、総所得金額等が180万円の方であれば、その5%は9万円。

つまり、医療費の合計が9万円を超えれば、10万円に満たなくても申告できるというわけです。

新社会人の方や、産休・育休、あるいは退職などで年間の所得が少なかった方は、このルールに当てはまる可能性があります。

新人さま

10万円いかなかったから…

とすぐ諦めずに、ご自身の源泉徴収票に記載されている「給与所得控除後の金額」などを確認してみてください。

保険金を受け取った場合の計算方法は?

入院や手術などで生命保険や医療保険から給付金を受け取った場合、その計算には少し注意が必要です。

基本的な考え方は、支払った医療費から、受け取った保険金を差し引くというもの。

例えば、ある手術で入院費として30万円を支払い、保険会社から20万円の給付金を受け取ったとします。

この場合、医療費控除の計算に含めることができるのは、差額の10万円だけです。

ここでよくある間違いが、年間の医療費全体の合計から、受け取った保険金の合計を引いてしまうケース。

正しくは、その保険金が支払われる原因となった「治療」にかかった費用からのみ差し引きます。

他の治療費から差し引く必要はありません。

また、もし受け取った保険金が支払った医療費を上回ったとしても、その黒字分を他の医療費から差し引く必要はないので、ご安心ください。

まとめ:面倒な医療費控除も、実は賢い節税の第一歩です

お金の階段を上る男性の画像

今回は、はじめて医療費控除の確定申告に挑戦するサラリーマンの方に向けて、

  • 医療費控J除の基本的な考え方
  • スマホで完結する5つの実践ステップ
  • 対象になる費用・ならない費用の見分け方
  • サラリーマン特有の疑問点の解消法

上記について、僕自身の体験も交えながらお話してきました。

面倒に思える医療費控除ですが、実はスマホで簡単にできて、やらないのは本当にもったいない制度なのです。

この「ひと手間」をかける習慣が、あなたの家計を助け、将来の資産形成にも繋がっていくことでしょう。

まずは去年の医療費の領収書や医療費通知を、テーブルの上に広げてみませんか。

その小さな行動が、あなたの家計を確実に豊かにする、大きな一歩になるはずです。

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